愛の歌、あるいは僕だけの星
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暫くして戻ってきた蒼井と、夏と一緒にのんびりと部屋で過ごしていた。窓を開けておけば、夜風が涼しくクーラーも必要ないくらいだった。
『避暑地って、贅沢だよね』
夏が笑っていうのに、銀也は口元を緩めてうなずいた。
「会長」
「なあ、前から思ってたんだけど、別に敬語とか使わなくていいし、名前呼び捨てにしてくれていいよ? 俺たち、同い年だろ」
堅っ苦しいにもほどがあるし、会社でもないのに会長なんて呼ばれるのも恥ずかしい。
「だめです。これはケジメですから」
「……ケジメね」
「生徒総会を無事に終えたら、そのときは名前で呼ばせてもらいますね」
「楽しみにしてる。それまでは、あだ名とでも思うことにするわ」
肩を竦めながら、そばにあったリモコンでテレビをつける。かちかちとチャンネルをまわすも、あまりぱっとした番組もない。