愛の歌、あるいは僕だけの星

「蒼井に、ちゃんと聞いて欲しいことがあるんだ」

 静かに、けれどはっきりと神谷が言う。

「私、大学から誠東を離れようと思う。私なんて、いくら頑張っても誰も気にしてくれないって、子どもみたいに拗ねてたけど。そんなことないって本当は知ってたのよ」

「レンゲ……」

「蒼井も、夏も、いつだって私のことを見ていてくれてた。さすがに今年の受験には間に合わないけど。今度こそ、全力で勉強して、本当に叶えたい夢を追いかけてみようと思うんだ」

 そっか。蒼井がそう言って笑うのに、「なによ、それだけ?」と神谷が声を上げた。

「心配かけてごめんね。ずっと、言わなくちゃと思ってて。今日ね、本当は蒼井をここに呼び出そうとしてたのに、まさか探しに来てくれるなんてびっくりしたわ」

「応援してる」

「……ありがとう、蒼井」

「つらくなったらいくらでも話聞く。気分転換にどこへでも付き合うよ。俺は、いつだってレンゲの味方だから」
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