愛の歌、あるいは僕だけの星
『心残り……、あたしの?』
胸の奥が嵐の夜のように不安にざわめく。怖くて、けれど足は根でも生えたようにその場から動かすことが出来ない。ただじっと、神谷の言葉を待った。
止まっていた時間が、ゆっくりと動き出す。
ずっと探していた答えは、こんなにも唐突に差し出されようとしている。死んだくせに、消えることが出来ないほどの未練だったはずなのに、記憶に濃い靄が立ちこめて見えない。
「私は、夏と、あんな風に喧嘩別れしたことを、後悔してた。あの時は仲直り出来ないなんて、思ってなかったから。けど、何度も夏の家に行って、お墓にも行って、最近やっと思えるようになったんだよ。そんなこと、ちっぽけに思えるくらい、私、夏とたくさんの時間を過ごしてきた。色んな話をしてきたんだって。私の相談を、夏はいつも真剣に聞いてくれた。だから私だって本当は……、夏のことをもっと応援したかった」
ねえ、夏。
神谷の問いかけに、静かに頷く。