愛の歌、あるいは僕だけの星
螢のひかり
「レンゲ!!」
「レンゲちゃん!!」
戻ってきた神谷の姿が見えた瞬間、ペンションの前で待ち詫びていた蒼井と三原が、彼女の名前を呼びながら駆け寄った。
「ごめんなさい、心配かけて」
「本当だよ!まったく!!」
涙交じりの声で言う三原のことを、神谷がぎゅっと抱きしめた。そんな彼らの後ろから、銀也はそっと辺りを見渡した。一緒に戻って来るはずの夏がいない。
「……会長? どうかしましたか?」
「あ、いや……、なんでもない」
どうしたんだろう。不安が過ぎる。
まさか、まだひとりであの湖にいるのだろうか。
「私たち、部屋に戻るね。藤原、本当にありがとう」
「いいよ。おやすみ」
ペンションに戻っていく背中を心ここにあらずの様子で見送っていた銀也に、蒼井が心配そうに声をかける。