愛の歌、あるいは僕だけの星
「夏……、なんで? どうして、そんなこと」
『嫌だ……、あたし、自分が大嫌いだ。ただの自分勝手で、我が侭だったの!あたしは、何を勘違いしていたのかな。死んだくせに、馬鹿みたいに縋り付いてこの世界にとどまって、何か特別な理由があるからだなんて、自惚れもいいとこだった。あたしは……、あたしは!ただ夢見がちで、我が侭で、この世に残ってただけだったのにっ!』
夏が怒鳴り散らした後、その場には耳が痛くなるほどの沈黙がおりた。
もしかして、もしかして。確かめるのが怖い。夏は、見つけてしまったのだろうか。それを聞くのが、たまらなく怖かった。
『ごめんね、銀也。本当に、ごめんなさい……』
「何を、そんなに謝るんだよ」
『銀也の生活に入り込んで、居座って、迷惑かけて。でも、もう大丈夫だよ』
銀也では拭うことさえできない、涙でぐしゃぐしゃの夏は無理矢理な笑顔をつくる。
(もう、大丈夫?)
夏の言葉を、心の中で反芻する。大丈夫って、なんだ。黙り込んだ銀也を、涙に滲む瞳で夏がじっと見つめる。