愛の歌、あるいは僕だけの星
「なにが大丈夫?」
『銀也……』
「全然、大丈夫なんかじゃない!」
張り上げられた銀也の声が、空気を揺らす。
「ふざけんな!消えたいとか、そんな軽々しく言うんじゃねえよ!」
『軽々しくなんて……!!』
「だって、馬鹿みたいじゃないか、俺……。こんなにいつも、いつも……、怖がってんのに」
抑えきれない想い。止められない感情。内心、銀也はひどく自分に呆れていた。どうして急に、夏がこんなことを言い出したのかもわからないまま、銀也は自分の感情をぶつけることしか出来ないなんて。
『怖い?なんで、銀也が……』
ぐずぐずと鼻をならしながら夏が問う。
黒目がちな瞳をじっと見つめながら、果たしてこの感情はいつ生まれたものだったのかと考える。周りの人間に、興味なんてなかった。それは、当然夏もいっしょだった。彼女が死んだと聞いた時だって、驚いたけれど悲しむことさえもしなかったし、不思議なはじまりだって、決してお互いの印象は良くなかった。