愛の歌、あるいは僕だけの星
それなのに、一緒の空間で、他愛もない話をして、ただ一緒に空の星を見上げて、自分のほかに、夏という存在が増えただけなのに。今、こんなにも愛しい。
ぽかんと、銀也を見上げる夏に、微笑んだ。
「本当は、言うつもりなかったのに。けど、やっぱりだめだ。とどめて置くことが出来ないもんなんだな。こんな気持ちを、自分が持ち合わせてるなんて思いもしなかった」
すっと、小さく息を吸った。
「夏に会うまで」
不思議だった。夏に出会ったことで、こんなにも変わってしまう自分が。心が搔き乱されてしまうのが不思議で仕方なくて、どうしようもなく怖かった。けれど、今なら少しわかる。人の気持ちも、自分の気持ちも理解出来なかった銀也に、彼女が教えたかったこと。
「夏は、俺の特別」
白昼夢を見た時に、喉がからからに乾いて、どうしても言えない言葉があった。認めたくなくて、それでも心のうちに留めておくには、その気持ちはあまりにも大きすぎた。