愛の歌、あるいは僕だけの星
いつの間に封を開けたのか、ポテトチップスを口に放り込みながら銀也が小さく頷いた。
「うん、なあ、如月。ヒロインはうざいけど、ドラマは結構面白いな。やっぱりこの俳優がいい感じ。俺好きかも」
『聞いてないじゃん』
「聞いてる聞いてる」
くるりと如月の方を向く。彼女は呆れたように視線を合わせて、不満そうに唇を尖らせた。
『コマーシャルで暇だからって、あたしを利用しないでくれる?』
「あはは、さすが同類。やっぱわかる?長いよな、コマーシャルって。でも、勘弁して。これでも俺、こんなに人と長いこと喋ったの久しぶりだからさ」
『……藤原君、お言葉だけど。あたし、もう人じゃないんだからね』
如月が言うのに、きょとんと目を瞬かせる。
何を今更分かり切ったことを。
『あたし、……成仏出来んのかなあ』
「ほんとだぜ。いつまでいるつもりだよ」
『藤原君のちゃらんぽらんな姿も、たった二日で見飽きたし』
「お前、幽霊じゃなかったら絶対ゲンコツしてる」
『あはは、それ痛そう。幽霊でよかったー』
でもさあ、と如月が銀也に向かって目を細めた。