愛の歌、あるいは僕だけの星

「うっさいなあ、関係ないだろ。口出すな」

 言った瞬間、書類と睨めっこしていた蒼井の矢のように鋭い視線が瞬時に銀也を貫いた。

「なんですか!その言い草は!!」

「いや、あの……、それは……」

(……しまった、そうか。蒼井には如月が見えない……)

 如月には話しかけるなと言っておきながら、自分こそそんな当たり前のことを失念するなんて。蒼井は、当然のことながらわなわなと怒りで身体を震わせている。

「もういいです。会長なんて知りません。俺の仕事はもう終わっているんですからね。後は、どうぞ会長おひとりでどうにかしてください」

 冷や汗を浮かべる銀也を一瞥し、「それじゃ」と背を向けて生徒会室から出て行ってしまった。となりでやれやれと肩を竦めている如月に「おい!」と声を掛ける。
< 40 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop