愛の歌、あるいは僕だけの星
「お前なあ!」
『なによ、あたしの所為にする気?そもそも、ちゃんと仕事しない藤原君が悪いんじゃん』
まったく遠慮のない如月の言葉。ぐっと押し黙る銀也に、してやったりと如月がにんまりと嫌な笑みを浮かべる。
さすがに、この山積みの書類を放置して帰るわけにもいかないから、銀也はようやく観念してゆったりとした皮椅子に腰掛けた。
『それにしても、なんで面倒臭がりな藤原君なんかが生徒会長やってんのかねえ……』
横に座り、退屈そうにぶらぶらと足を揺らしながら如月が呟く。
「そんなんしるか。気づいたら勝手に推薦されて、あれよあれよという間に……。まあ、退屈してたからオッケーしてはみたものの」
『あんたね。でもま、確かに藤原君、人間性にはかなり問題あるけどさ、人を惹きつけちゃう何かは持ってるよね』
「俺の魅力は、幽霊まで引き付けてしまうんだから、罪だよなあ」
銀也の言葉に、如月は不満そうに頬を膨らませてじとりとした目を向ける。全く、彼女は感情がすべて顔に出るのだから見ていて飽きない。
「あはっ……!すごい不細工!」
『酷い!女の子にブサイクって言った!!……でもま、藤原君は本当に、格好だけは良く生まれてきて良かったね』