愛の歌、あるいは僕だけの星

『不思議だよね。そんな希薄な関係だったのに、死んだ後にさ、なぜだか藤原君と一緒に暮らすことになるなんて』

「……そうだな、確かに。その通りだ」

 おかしな、気分だった。
 如月の、他愛ない言葉がじわりと、妙に不思議な実感と共に心に沈む。

『あら、素直じゃん』

 ずっと、パソコンの文字ばかりを追っていた所為だろうか、頭の中が靄がかったようにぼんやりとする。不意に、思ったのだ。ああ、残念だと。もう少し早く、彼女が生きている時にもっと、如月のことを知りたかったと。なんて、自分らしくもない。如月も、まさか銀也がそんなことを思っているだなんて気づかないだろう。

(……気づかなかったことにしよう、俺も)

 久しぶりに、真面目に仕事をしたから疲れただけだ。
< 44 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop