愛の歌、あるいは僕だけの星
「……銀也?」
「宮崎さんに許されなきゃ出来ないことなんて、俺には何ひとつないんだけど」
それは、どこまでも明確な拒絶だった。
驚きに目を見張れば、銀也は静かに口角をあげる。
「わ、私。銀也のこと好き。誰でも、部屋に連れ込んでエッチしてるわけじゃないよ。銀也が一番好きだから、だから」
「一番?」
「うん。そうだよ一番大好き。ねえ、銀也は?この後会う女が、銀也の一番じゃないんなら、今夜は一緒にいてよ。私、寂しいよ」
必死に言い募る彼女に、銀也はそっと溜息をこぼした。
「一番なんて、いないけど。皆、同じだ」
「……っ」
瞬間、感情のままに振り上げられた手のひらを、銀也はいとも簡単に彼女の細い手首を掴んで遮る。
しっかりと受け止めることが出来たそれに、ふと、如月とのやりとりが思い浮かんだのが不思議だった。
自然と、何かを確かめるように手首を握りしめてしまっていた。