愛の歌、あるいは僕だけの星

「銀也、痛いよ……」

 彼女が漏らした苦痛の声で、我にかえって手を離した。

「あァ、ごめん」

「ねえ銀也。私じゃ、銀也の一番になれないかな。すぐには無理でも、今は付き合ってくれるだけでいいよ。いつかさ」

 懇願するように言う彼女の言葉に、銀也は笑みを浮かべたまま表情を変えることはない。

「一番って、何の順位?それ」

「茶化さないでよ!わかってるくせに、ずるい!」

 唇を噛みしめて、声を荒げる彼女にそっと微笑んだ。必死になって、真っ直ぐに気持ちをぶつけてくるその必死さに、少しだけ退屈にくさっていた心が動く。

「宮崎さんのそういうところは、嫌いじゃないよ」

「銀也!」

 瞳に浮かぶ期待。
 切望、羨望、嫉妬に独占欲、いつだってそれらの感情を、とりまく人間達は無遠慮にぶつけてくる。初めこそ、うっとうしくて仕方なかったそれを、今は器用に拒絶するだけの要領を得た。
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