愛の歌、あるいは僕だけの星
(如月が、消えた?)
そのままベッドに仰向けになる。
昨夜しっかりと睡眠をとれなかったせいか、疲労困憊した身体はベッドに溶け込んでしまったかのように動かない。
いきなり現れた彼女だから、こうやっていきなり、消えてしまうものなのかもしれない。
「……だからって。さよならもなしか」
ぽつりと呟く。
考えてみれば、一緒に暮らし初めてもうすぐ一ヶ月が経とうとしていた。けれど、自分は如月のことを何も知らない。そもそも、知ろうとすらしなかったのだ。
「俺、如月のこと、なーんにも知らないんだな」
他人。銀也と如月の関係。
如月夏が、死ぬまではその一言で言い切ってしまえる関係だった。
(それじゃあ、今は?)
答えは出なかった。けれど、彼女がいなくなったことで感じるこの気持ちは一体なんだ。その正体は。