愛の歌、あるいは僕だけの星
「……俺、もしかして、……寂しいのかな」
心臓が、ぎゅうとなって苦しいのだ。腹の底から広がっていくようなこの薄暗いものは、喪失感。
「厄介者がいなくなって、清々したはずなのに。変なの」
如月が現れた当初、いつも願っていた。
部屋に他人がいることが嫌で、他人に自分の生活に立ち入られることが嫌で、それによって何かが変わってしまうことがどうしようもなく、気持ち悪かった。
『早く、消えてくれ』
そう、願っていたはずなのに。
気がつくと、スマホと側に置いてあったチラシをポケットに突っ込んで部屋を飛び出していた。
如月の行きそうな場所なんて見当もつかない。だから、ただがむしゃらに探す。学校の敷地をのぞいて、商店街を抜けて、公園へ。自分の無感心さに、今は心底腹が立つ。
「大体っ……、なんで、俺が!」