愛の歌、あるいは僕だけの星

 どごっ、と先ほどとは比べものにならないような鈍い音。うまい具合に、いいところにはまってしまったようで、銀也は思わずしゃがみ込んだ。しまった、やりすぎた。夏は慌てて銀也の前に、同じようにしてしゃがむ。

『ねえ、自分でやっといてなんだけど……、大丈夫?』

 ぴくりとも動かない銀也に、おそるおそる声をかける。

「……、」

『え、なあに?藤原君』

 ぽそりと、銀也が何かを呟いた。小さすぎる声音で、聞き取ることが出来ない。しゃがみこんだまま、銀也はゆっくりと顔だけをあげた。

「勝手に、消えんな」

『……っ!』

 銀也が、わき腹を押さえながら立ち上がる。透き通るような両の目で、真っ直ぐに夏を見つめる。

「もし、消えるときは……」
 銀也は言葉を続けなかった。

 夏は、ぎゅうと唇をかみしめた。心のずっと奥に沈めていた感情が、一度に溢れ出してくる。
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