愛の歌、あるいは僕だけの星

『いやだよ、あたし……、消えたくない……』

「うん」

『怖い……、ほんとうは、ずっとずっと、怖かった。怖くて、苦しくて、仕方ない。だってあたし……』

 銀也の手が、そっと夏の背をなでる。温度も、人としての形も、もう何にもないのに。その仕草は何よりも優しくて、あたたかい。

『あたし、もっと生きていたかった。もっと、もっと、みんなと一緒に生きていたかったよ……、藤原君』

「……うん、俺も。俺も、もっと早く、如月のことを知りたかった」

 そう思うのは、本当は今日が初めてじゃないんだ。如月は、信じないかもしれないけれど。心の中で呟いて、銀也もそっと、静かに瞳を閉じた。
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