愛の歌、あるいは僕だけの星
「て、なんでまた泣くんだよ!?」
「泣いてないよ!泣いてないけど、嬉しいんだもん!行きたい!」
「はあ……。ならいいけど、ほんと、おまえってオーバーだよな」
呆れたように笑って、また支度を始める銀也の背をじっと見る。彼は、きっと優しい。そして何より、自分を泣かせるのが上手だ。くすんと、こっそり鼻を鳴らした。
昨夜、あんなに弱音を吐いて、大泣きしたっていうのに、銀也はそれについてもう何も言わない。朝起きて、おんなじように接してくれる。けれど、彼なりに励まそうともしてくれているのだ。ぎゅうと、胸が苦しくなる。器用なのに不器用で、他人の感情に疎いくせに不意に弱いところをついてくる。藤原銀也という人間に、幽霊である如月は随分と心を乱されてしまっている。