この恋は、風邪みたいなものでして。


「なっ 何で!? なんで皆、颯真さん誤解してるよ!」

「してないから。俺はお前のその世間に揉まれてない危ういところも、仕方ないから守ってやるって言ってるのに」

「揉まれてないわけないじゃん。馬鹿にしないでよー!」

柾が思いっきり私を子供扱いしていることにびっくりした。
それって、私的には許せない。

「馬鹿にしてねえ。心配してるんだよ、馬鹿」

「馬鹿って二回言った」

柾が怖くて、顔色を伺ってばっかりだったはずなのに、本音を知ってしまった今、何だか素直に受け止めることが出来た。

「私って、外見しかみていなかったのかな。内側を見てなさすぎた?」


「そうだ。あの颯真ッて奴ももっと色んな角度から見て目を養え。恋愛は暴走しても傷付くのは自分だけだぞ」

「傷付いてるの?」

「そんな馬鹿なことを聞いてくる奴のせいで、傷付くのも馬鹿らしいって思ってる。お前は回りの空気を読むのが下手だから」

人の気持ちを分っていない。
そう一番近くに居た柾がそう言うならばそうだったのかな。
私は、柾の気持ちを気づいてあげられなかった期間、一体どれぐらい彼を傷つけてしまったんだろう。

すぐに怒って自分の気持ちを誤魔化す柾の隣に私が居ても、きっとお互いこんな風に言い争いばっかりになってしまうんだろうなって思った。

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