この恋は、風邪みたいなものでして。
私ではない?
「私が攻撃すると思って本命は隠してたのかな。歳が離れてるから、合わせる前に父親にちゃんと話し合ったッて言ってたわよ」
そう言えば先日、父に会うからと朝から正装していた気がする。
歳が離れているけど、ちゃんと認めてもらいたいと思う人?
どうしよう。
一人だけ浮かんでしまった。
さっき、私に忠告してくれた店長の顔が、浮かんでしまった。
「あの、ピアス落としてませんでしたか、音符型のルビーが入った……」
「ええ。これでしょ?」
茜さんは耳に髪をかけるとピアスを見せてくれた。
「なんだ、貴方が見つけたんだ。残念。本命が見つければダメージ与えられたのに」
「じ、じゃあサングラスのケースも?」
最上階に到着して扉が開いた。
それでも茜さんは、持っていたバックから颯真さんの部屋で見たサングラスケースを取り出した。
「私の。それも貴方が見つけたのかあ」
「返してもらったんですか?」