この恋は、風邪みたいなものでして。
女の勘は鋭い。
確かにそうなのかもしれない。
私はただの片思いだから、だからこの嘘の婚約者の位置でしか颯真さんの傍に居られない。
だから余裕なんてない。
免疫がないと、颯真さんにからかわれたのも、――本当にだたからかわれただけなんだ。
私の知識も経験もない頭では分らなかったことが、ジクソーパズルのようにピースが埋まっていく。
本当の婚約者を茜さんから遠ざける為に私が居るんだ。
婚約者がいるのに、茜さんと朝から会ってたり。
婚約者さんが心配して忠告してくれてたり。
私だけが何も知らなかったんだ。
「教えていただき、ありがとうございました」
「んーん。またね」
茜さんは、婚約者がいても颯真さんと会いたいのだろうか。
それぐらい好きなのかな?
じゃあ私はどうなんだろう。
風邪の引き始めみたいに熱も高くて、判断力もなくて、処方箋もない私は?