この恋は、風邪みたいなものでして。
新居。
店長とそんなことまで考えているんだ。
ってことは、私が今、告白しても迷惑になるだけでしかない。
不意に弱気な気持ちが湧きあがってきた。
でも、だったらせめて、ちゃんと色々繋がっている部分は終わらせないといけない。
「じゃあ、面会時間は終わったし、帰ろうか、わかば」
「え、もう?」
後ろ髪を引かれる思いで子猫を見る。
結局、色んな気持ちでぐるぐるして子猫とちゃんと面会できていない。
「子猫の為にも俺達が話しあうのが先だろ?」
颯真さんは入院手続きを済ませると、私のカバンを持ってさっさと入口の方へ向かう。
颯真さんを追い掛けながら大和先生に会釈すると、先生は呑気だった。
「あのね、キッチンまわりとソファだけは絶対に妥協しちゃいけないからね」
「……」
先生。
私たちが話しあうのは新居の話ではないのです。
そうとは言えず、曖昧に頷くと、外では既にエンジンをかけた車に、助手席を開けた颯真さんが待っていた。