この恋は、風邪みたいなものでして。
颯真さんは、私が恋人を亡くしたから守ってくれていたのに。
「えっとね。俺はヤス君が猫だって知ってたよ」
「嘘」
怖くて顔をあげられないまま、信じられないと首を振る。
「嘘じゃないよ。それだって、君が思い出せば全て納得できると思う」
またマティーニを一気に飲み干すと、彼は小さく笑った。
「猫を家族のように其処まで愛しちゃう君だから、俺の事もヤス君以上に愛してくれるんだろうなって益々好きになったんだよ」
「益々・・・・・・」
カバっと顔を上げると、颯真さんはケラケラと笑っている。
もっと上品に笑う人だと思ったのに、お腹を押さえて、声を上げてる。
これが彼の素だとしたら、素の部分も私は大好きだ。
飾らない笑い方も、素敵。
「まあ俺が悪いか。迎えに行くタイミングを間違えたから。だから、君が謝ることなない」