この恋は、風邪みたいなものでして。
症状六、副作用反応在り。
明日の朝――。
そう言われ、そわそわして眠れないまま寝たのは、朝と呼ぶ時間。
それからずっと着信やメッセージの受信を待つのに、連絡はない。
遅番は、朝ビュッフェの片づけからの出勤なので10時前に休憩室に到着していればいいぐらい。
ランチとディナーの配膳や在庫チェックなどだけど、やっぱランチが一番忙しい。
だから、決着を付けるならば、10時前だと仕事中、上の空になることもない、はず。
「うん。やっぱりもう出勤するっ」
念入りに髪を巻き、赤のチェックのワンピースにオレンジ色のカーディガン。それに白のコート。
普段より明るめのコーデで気合いを入れて、いつもより3センチ高いヒールの靴を選んだ。
「あら、もう行くの?」
「うん。今日は大事な日なの」
「そう。あ、そうだった」
洗濯を終えてバスルームから顔を出したお母さんが、ポケットから小さく折り畳まれたパンフレットを差し出した。