この恋は、風邪みたいなものでして。
初恋の彼は泣いている私の頭を撫でると、リボンを付けた猫をくれた。
その猫は、私の一番の友達で、大切な存在だった。
そんな彼に今、私は風邪を引くように恋に落ちた。
溢れた思いは、ピアノの音色の様に、この先もずっと途切れることもなくずっと奏でていけるだろう。
大切にしていきたい。
弾き終わった彼を、私は目隠ししていた手を解いてそのまま抱き締める。
「ありがとうございます」
「こちらこそ」
「わ」
腕を引き寄せられ、彼の足の上に座りこみ、そのまま見つめ合った。
親指でなぞられた唇。
今度は、ちゃんと目を閉じようと、ぎゅっと力を瞼に入れる。
すると、彼の唇は最初に瞼に降りてきた。
次に、唇に。
恥ずかしくて目を閉じたまま下を向くと、強引に顎を持ちあげられて、経験したことなんてない、甘くて深いキスをした。