この恋は、風邪みたいなものでして。







今日はいつもよりランチもディナーも多くて、休憩時間前にはお腹が鳴って五月蝿くて恥ずかしかった。茜さんも来たから、ふわふわした気持ちも気が引き締まって良かったけれど、いつも以上に疲れた。

賄いにサンドイッチとスープとカレーが出たけど、お代わりまでする始末。

けど、味が全然分からない。

美味しい筈なのに、食べても食べても、味がしなくて首を傾げてしまう。

「それ、私も分かる。今日は何を食べても味がしないかも」

菊池さんの声で、その謎が溶けた時には、颯真さんに会いたくて仕方が無かった。

どうしてこんなに好きになってしまったんだってぐらい、彼の事を考えてしまい、お腹が空いたはずなのに味がしなかった。
自分はどうやら一つの事を考え出したら何も見えなくなるらしい。

早く会いたくて胸が苦しい。



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