この恋は、風邪みたいなものでして。
それから数日して、ホテルの従業員をホールに集めて、代表である颯真さん本人がウエディングプロジェクトの説明会を行い、来年完成を目指し増築も始まるようだ。
そのせいで本当に忙しくて三日程会えない日もあった。
子猫の退院も、一週間伸ばされた。
その頃には、もう子猫もすっかり元気になりミルクだけではなく離乳食も食べて体重も倍近くになった。
「あら、退院なのにまだ颯真君は来てないの?」
タオルを敷いたゲージにそっと子猫を移動していたら、大和先生は窓の外を見る。
昨日の夜、電話した時には問題ないと言っていたんだけど。
でも。
「来ないかもしれません」
「仕事が忙しいの?」
「喧嘩したんです。いや言い争いッていいますか」
会えない寂しさもあって、つい私も引くに引けず、そのまま電話を切って電源ごと消してしまった。
仕事で毎日疲れているって分かってるのに、本当に自分は最低だ。
応援してあげるって決めた癖に。
「そんな深刻な内容の喧嘩だったの?」