この恋は、風邪みたいなものでして。

どうしよう。

今日と明日は思い切って有休をとってるのに。

環境が変わって子猫が不安にならないようにと颯真さんの家に泊まり込みで面倒見ようって思って荷物も準備している。

怒らせちゃったのなら、これ以上仕事の邪魔になるのも嫌だし、うちの家に連れて帰ろう。

ヤス君の匂いが多分消えていないうちの家では子猫が落ち付かないかもしれないけど。

カーテンが閉まった病院の窓に映る私は、今すぐにも泣きだしてしまいそうな顔だ。
三日ぶりだからって、胸元に大きなリボンのちょっと大人ッぽいワンピースを着てきたのに。
選んでくれた菊池さんの好意が無駄になってしまう。

「しょうがないよね。うちにおいで、子猫ちゃん」
ゲージを持ちあげてバス停へ向かおうとしたら、ふわりとゲージが軽くなった。

「すまない。会議が長引いてしまった」

息を切らした彼が、軽々とゲージを持ちあげて子猫の顔を覗きこむ。
忙しいのに駆けつけてくれた姿に、自分の心の狭さが胸を抉る。

「『双葉』と『青葉』、どっちがいい?」

「え?」


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