この恋は、風邪みたいなものでして。
「将来の子供につけようと考えていた取って置きだけど、可愛い子猫になら譲ってもいいよ」
「颯真さんっ」
そんなことまで考えてくれて、――いや違う。
颯真さんはいっつもいつも先の事を考えて行動してくれているのに。
「風って書いて『ふう』がいい」
「わかば?」
「颯真さんの漢字の一部だし。私も颯真さんも風に揺れちゃう名前だし」
わかばなんて、颯爽と吹く風の前では簡単に吹き飛ばされちゃうし。
「風邪を引いたみたいにいつまでもドキドキしている二人だしね?」
優しく片手で腰を引き寄せられた。
昨日のつまらない喧嘩なんて、颯真さんの体温に触れたら馬鹿馬鹿しくなっちゃう。
どうでも良くなって私も颯真さんに抱きついた。