この恋は、風邪みたいなものでして。


仲直りのぎゅーっも終え、颯真さんの家に初めてお邪魔した。


タワーマンションの最上階という、颯真さんに似合いすぎな場所で思わず窓に張り付いて風景に見入ってしまった。
空は、ゆっくりと夜に沈みオレンジかかった太陽が揺れている。
ホテルも良く見える。そんなに遠くない距離で通勤にも便利だと思う。

「ふう君、おいで。落ちないようにするんですよ」
「大丈夫。ほとんど窓は開かないから」
私の手に擦りより、颯真さんの足に絡みつくと、日当たりのいいソファの上で丸くなった。どうやら気に入った様子で安堵する。

「でも、モデルルームみたいに綺麗過ぎる」
「そう? まあ最近は忙しいから寝にかえるだけだしね」

そう言って上着を脱ぎ、袖をめくりながら冷蔵庫を開けた。

「えええ。なんか家でも見たことないような調味料がいっぱい並べてあるよ」

「ああ。俺、結構料理できるよ。でもわかばもできるでしょ? ネギ持って歩いていたし」

「わ、私は庶民の味しか作れないです!」

「それでいいよ。わかばの手料理が食べたい」

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