この恋は、風邪みたいなものでして。



そのまま、抱き抱えられ寝室へ連れて行かれた。

彼らしい、紺色のカーテンにベットシーツ。

水族館みたいに熱帯魚で綺麗なスイートルームを作る人だ。
青が好きなのかもしれない。

そんな風に、まだ知らない小さな事が溢れている。

その何倍も、隙が溢れて知っていけばいいのだろうけど。

優しくベットへ下ろされると、ベットサイドに薔薇の花束と指輪が入った箱が置かれている。


風を迎えに来るのが遅れたのは、もしかするとこれを用意する為だったのかもしれない。

そう思うと益々恋情は身体中を支配し溢れて来た。


菊池さんに選んでもらった胸元がリボンで結ばれた服は、さっきの鍵についたリボンみたいで、ついつい笑ってしまう。

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