この恋は、風邪みたいなものでして。
ゆっくりと彼がリボンを解くと、恥ずかしくてぎゅっと目を閉じた。
緊張を和らげようと絡んだ指がベットへ沈んでいく。
ネクタイが解かれて、瞼に口づけを落とされると、片目を恐る恐るだけど開けてしまった。
「わかば」
愛しげに私の名前を呼ぶ彼は、カーテンの隙間から洩れるオレンジ色の夜の色を被り、優しい瞳を揺らしている。
落ち着いていて、私の心をいつも掻き回すけど、一番嬉しくて一番愛しい言葉をくれる人。
私も彼の背中に手を伸ばして全てを受け止めた。