この恋は、風邪みたいなものでして。
エピローグ


「ピンクと、もっと柔らかい色、そうだなオレンジよりのアプリコット。あとは、やはり青だな。確か新作の青色で、薔薇が胸元に咲き乱れている奴があったはずだ。それと黄色と」

「颯真さん、1回の試着では3着までなんですよ」

カーテンから顔を出してそう言うと、既に5着持っていてドレスコーディネーターの担当さんが困ってわたわたしていた。

一度に何着も着ても決められないしどれも良く見えたりするらしく、3着試着して写真で撮ったのちに、次に試着する時はそれを参考に似合う色を決めていく。

なので、あと3カ月で5回、ドレスの試着のためにスケジュールを開けなくてはいけない。
というか、3カ月でダイエットが間に合わない気がする。

「じゃあ、これとこれと、――わかばはどの色にする?」

「うーん。ピンクも好きだけど、颯真さんは青が好きだし。でもですね、颯真さん」

一通り見て回ったけれど、今日選ぶのは、いきなりカラードレスでは無く、純白のウエディングドレスなのですが。


「わかばさん、少し背中締めても大丈夫ですか」

「は、はい。お願いします」

背中のフォックを外され、一回り小さなフォック付け直す。
身体のラインが綺麗に見えるからという理由で、ビスチェのインナーにしたけれど、これって息をするのさえ苦しい。

「颯真さん、私、式中は絶対ご飯食べる余裕ないです」

店長の旦那様プロデュースなのに、味わえないなんて。


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