この恋は、風邪みたいなものでして。
すると、私たちの担当のウエディングプランナーさんがクスクスとカーテンの外で笑っている。
「大丈夫ですよ。新郎新婦さまたちは当日ご飯を食べる時間なんてありません」
「嘘!」
「お色直しに、ご友人との歓談にお写真、そしてお酒も注がれますしね。ちゃんと式が終わった後に、二人にはディナーとしてお作りなおして下さいますよ」
「そうなんですね。二次会もこのホテルのBARだし、じゃあ食べる時間ありますね。良かったあ」
ホッと胸を撫で下ろすと、キツくしまっていたビスチェに身体を締められた。
や、でもダイエットはしなくちゃいけない。
この二の腕とか、出したくないな。
「食い意地が張ってるのは、最近ダイエットに頑張りすぎだからではないか? 俺は今の抱き心地がベストだから、これ以上痩せなくていいのに」
「そっそんな訳にもいかないですってば! 一生に一度ならばやはり少しでも綺麗なまま思い出に残りたいですもん」
「出来ました。カーテンを開けても良いですか?」
プランナーさんに、マリアベールを被せてもらい正面の鏡を見る。
その鏡に映った私は、自分でも驚くほどに幸せに微笑んでいた。
「早く、見せて」