この恋は、風邪みたいなものでして。
せがむ颯真さんが可愛くて、ブーケで笑い声を隠す。
「良いですよ」
カーテンの向こうでは、珈琲に手もつけないで座っていた颯真さんが居て、開けた瞬間、顔を蕩けさせた。
「――言葉がでないぐらい綺麗だ」
「ぷっぷぷぷ」
恥ずかしい言葉も、惜しみなくくれるので、最初は恥ずかしかったけど今はただただ嬉しい限りだ。
「新郎様、此方のドレスですがネックレスとイヤリング、王冠の種類がありまして」
テーブルに並べられた、ベルベットが敷き詰められた宝石箱の中から、見たことのないような高価なアクセサリーがどんどん出てくる。
ウエデイング用のアクセサリーは何百万とか何千万とかする宝石を扱う場合もあるらしく一日レンタルするだけで数十万したりするとか。
恐ろしい。
出来れば落としたくないから身に付けたくないぐらいだ。
「うーん。ベールが長いからなあ」
それでも私や親よりも真剣になってドレスのデザインや装飾品に拘ってくれる颯真さんが嬉しくて、何も言わない。