この恋は、風邪みたいなものでして。


此処『オーベルジュ』のホテルウエディングの計画は、すぐに情報が広まって工事が始まった時点で見学者と予約者の問い合わせがきたぐらいだ。

教会は隣の『シャングリラ』と兼用しようかという話も、一年以上先の予約の問い合わせまで着た時点で諦めて、新しいチャペルも作り、工事も急ピッチ。

おかけで私たちのウエディングの打ち合わせ日はここに泊まることもしばしば。

彼が忙しいのだから仕方がないのだけど、いちいち良い部屋に泊まるから身分に合っていない気がして居たたまれない。



それに、シャングリラで結婚式を挙げて欲しいと言う颯真さんのお父さんの頑固な意見もなかなか説得するのに骨が折れた。

結局、シャングリラで式を挙げる場合、ホテルの関係者及び日頃お世話になっている方々を招待することになり、それが颯真さんのお父さんだけでも300名を超えるらしく諦めてくれた。
大きな会場でも、800人しか入らない上に、そうなれば座席だのスピーチを誰にするかだの大変らしい。

シャングリラに比べたら部屋数も、ホールもそんなに大きくないオーベルジュで、ゆっくり私たちらしい式にしたいという意見に合わせて貰った。


< 218 / 227 >

この作品をシェア

pagetop