この恋は、風邪みたいなものでして。


何か身体が暖かくなり、膝の上の風君が重たく感じて目を起きたら、私の膝の上で颯真さんが眠っていた。

スーツの上着さえ脱がず、帰った着た瞬間眠っていた私の膝にダイブしたのかもしれない。

いつも見上げている綺麗な顔が膝の上にある。
髪を撫でたら柔らかくてサラサラで、ちょっとだけ風君に似ていた。

風君は、颯真さんのお腹の上。
颯真さんは私の膝の上。
私の肩にはタオルケットがかけられてる。

このまま3人でここでのんびり眠るのも良いかもしれない。
そう思ったけれど、お米も炊いてない。
お風呂も掃除してないし、食材なんてキッチンに置いたままだった。


そろりと抜けだそうともがくけど、小さく『んんっ』と声を洩らした颯真さんにドキリとして金縛りにあう。

なんでこの人は、眠っていても格好良いんだろう。


貴方に恋という病名の風邪を引いたのに。


「一向に免疫力がつかない。それどころか、――毎日気持ちが止まらないよ」

< 223 / 227 >

この作品をシェア

pagetop