この恋は、風邪みたいなものでして。


仕事で忙しくて会えなくても、自由奔放で私の為ならお金に糸目を付けないところも。

本当はピアノは今でも練習しているからあの時演奏できたのだと、指輪を嵌めた次の日に聞かされても。

一人で何でもできちゃうのに、私の事を好きになってくれたそんな貴方が、毎日好きです。

多分、これは一生続きそう。

「そんなに見つめられたら穴が開いてしまいますよ」

「颯真さん……起きてたんですか」

「うん。抜けだそうとした時から起きてた」

意地悪。
それでも、憎めないのは蕩ける甘い笑顔のせいだ。

「ご飯作らなきゃ、何もせずに眠っちゃったんです」

「大丈夫。あと15分したらピザが来るよ」
「颯真さんが電話したんですか?」

「他に誰が?」

こんなタワーマンションの最上階に住んでいたり、五つ星ホテルの御曹司だったり、売れっ子恋愛小説家で趣味でピアノを弾けちゃうような颯真さんが、デリバリーのピザを食べる姿が想像できない。



< 224 / 227 >

この作品をシェア

pagetop