この恋は、風邪みたいなものでして。
「だから、あと15分はのんびりしていよう?」
優しく言われたら、断れるわけない。
「あとね、今度発売する小説で、一度、執筆は休むことにする」
「忙しいからですか?」
私の返答に、彼は首を振る。
「ううん。小説はもともと、君との思い出を形に残したくて始めたことで、今度発売するので願いが叶った。色んな職業の人と交流するのは人脈も広がるし刺激も貰えるけど。俺はもうあとは暫く、仕事と君との時間を優先したいんだ」
チャリっと、上着からキーケースが落ちる。
四番目のカギは、この家の奥にある書庫で、彼の第二の仕事部屋だった。
それほど書くのにも熱中していたのに。
「また時間が生まれたら書いてくださいね、律先生」
「あはは。そうだね」
ダイエットは明日からにしよう。
私はあと15分後に来る颯真さんのピザを頬張る姿にわくわくしながらも、この暖かい空間に身を委ねた。