この恋は、風邪みたいなものでして。
それは菊池さんから聞いてます、とは言えずレジに進みながら距離をとる。
「もう待たなくていいよ。私、この前はかっとなって言いすぎし柾のこと嫌いじゃないけど、彼が妬いちゃうから」
レジに本を出し財布を取り出し払うと、柾も隣のレジで会計を始めた。
このままではもしかして一緒に帰宅しちゃうパターンかもしれない。
「そんなヤキモチ妬きの婚約者がお前にいつから居たんだよ」
鋭い目つきで追及されると逃げ出したくなる。
「あの時現れるまで、お前にそんな雰囲気は見たこと無かったけど」
「……店長の紹介で、日は浅いし気持ちの整理がまだついてないからって伝えたからそんな、雰囲気はまだ今からだよ」
「ふうん。嘘って顔に書いてある」
柾のちくちくした言葉に胸が痛くなる。
颯真さんの時とは違い、責められているようで自分がドジでノロマでしっかりしてないって言われている様な威圧感。