この恋は、風邪みたいなものでして。


「それってでも分かる。好意がある人には好意持たれたいじゃん。私でもそうするよ。連絡先聞く為に『相談乗るよ』って優しい言葉かけたり。応援しているふりして――こっちを見てって思ったり」
「菊池さんでも!?」
「うん。ってか笹谷君のことなんだけどね」
「えええ!?」

大声を出してしまった私に、レジを開けていた店長がこちらを睨んできたので慌てて口を押さえる。
けど、びっくりした。
まさかまさか、そんな。

「華寺さんが他の人に夢中みたいだから、先に言っておくね。私も打算的だから」
「ええ――」
綺麗で、仕事も出来て、気配りもできるし性格もいいし。
そんな菊池さんが、柾に好意を持っているなんて思いもしなかった。

「驚くのって変よ。でも気づかれたら盗られちゃうって思ったから言えなかったけど、笹谷くんは華寺さんがふわふわして危なっかしいから厳しい事言ってただけで優しくないわけじゃないよ」

真っ赤になって両頬に手を置いて、真っ赤になりながら菊池さんは言う。
「逆に興味無い人にあんな心配するわけないじゃん。でもおかげで私がいっぱい慰めて距離が縮まった感じかするの」

そう言えば、連絡を取り合っている様な事を言っていたし、何処に居るかも把握していたかもしれない。

うわあ……。
柾は私には怖いけど、見た目はイケメンだし菊池さんと並んだら美男美女でお似合い過ぎる。
しかも、菊池さんは幼馴染の私よりも柾の内面を分かってくれてる。
これって何だか上手くいって欲しいって応援したくなる。

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