この恋は、風邪みたいなものでして。
「ごめんなさい、案内できないから地図書きます」
「大丈夫。乗って」
「でも」
「無理矢理乗せていい?」
強引な颯真さんの言葉に、それでも自分の汚れを見渡して首を振る。
「俺が、そんなに汚れて頑張ったわかばを置いておくような男に見える?」
「……見えません」
だって颯真さんは優しい人だから。
そう思っていたら、髪をまた撫でられた。
(え……)
その撫でられた仕草に、なぜか一瞬、既視感で懐かしく感じた。
でも何故、今?
「良かった。君の中の俺はそれほど悪い男ではないらしい」
満足げに笑う彼に、酷く胸を抉られる。
それでも上手く思い出せない。
なんでこんな感情が浮かんでくるんだろう。
「さ、乗るよ」