オークション
☆☆☆

エレナの言った通り、あたしたちは寄り道をしてたこ焼きを買っていた。


スーパーに隣接して建てられている100円たこ焼きは、放課後の学生がよく集まって来る場所だった。


今日もすでに何人かの学生たちが集まり、賑わっている。


あたしとエレナはそれぞれたこ焼きをワンパックずつ買って、外のベンチに座った。


「美味しそう!」


エレナはいつも以上にはしゃいでそう言い、アツアツのたこ焼きを口に運んだ。


嫌なことを忘れようとしているのが感じられる。


「ほんと、美味しそうだね」


エレナに賛同してたこ焼きを口に運んだ……その時だった。


どこかで見たことのある男の子がたこ焼き屋に並んだのを見て、あたしはそちらへ視線を向けた。


誰だっけ?


つい最近会った事があるような気がするのに、思い出せない。


男の子はあたし達に背中を向けているため、その顔もハッキリとは見えなかった。


気のせいかな?


そう思い、たこ焼きを口に運んだ。
< 105 / 274 >

この作品をシェア

pagetop