オークション
アツアツのたこ焼きで口の中が一杯になり、思わず涙目になる。
慌てて自販機で買ったジュースを一口飲んだ。
その時だった。
クスクスという笑い声が聞こえてきてあたしとエレナは同時にそちらへ向いた。
そこにはさっきの男の子がたこ焼きの入った袋を下げて、こちらを見て笑っていた。
その顔に、ハッと息を飲む。
オークションで戸田啓太さんの脳味噌を競り落とした子だ!!
正面からみるとすぐにそれがわかった。
しかし、男の子は会場で見た時よりも随分しっかりしているように見える。
「大丈夫? たこ焼きは半分に割ってから食べた方がいいよ」
男の子はそう言い、スタスタと歩いて行ってしまった。
その様子をあたしは茫然として見つめる。
会場では今にも泣きそうな顔をして、母親の後ろに隠れていた。
言葉を発することもできず、やられるがままだった子が……たった数時間でここまで変わるなんて……。
「藍那大丈夫? 口の中火傷した?」
呆然としているあたしにエレナが心配そう声をかけてくる。
あたしは左右に首をふり「大丈夫」と、呟くように返事をしたのだった。
慌てて自販機で買ったジュースを一口飲んだ。
その時だった。
クスクスという笑い声が聞こえてきてあたしとエレナは同時にそちらへ向いた。
そこにはさっきの男の子がたこ焼きの入った袋を下げて、こちらを見て笑っていた。
その顔に、ハッと息を飲む。
オークションで戸田啓太さんの脳味噌を競り落とした子だ!!
正面からみるとすぐにそれがわかった。
しかし、男の子は会場で見た時よりも随分しっかりしているように見える。
「大丈夫? たこ焼きは半分に割ってから食べた方がいいよ」
男の子はそう言い、スタスタと歩いて行ってしまった。
その様子をあたしは茫然として見つめる。
会場では今にも泣きそうな顔をして、母親の後ろに隠れていた。
言葉を発することもできず、やられるがままだった子が……たった数時間でここまで変わるなんて……。
「藍那大丈夫? 口の中火傷した?」
呆然としているあたしにエレナが心配そう声をかけてくる。
あたしは左右に首をふり「大丈夫」と、呟くように返事をしたのだった。