オークション
☆☆☆
生徒たちでごった返している廊下を走りぬけ、一気に昇降口に向かう。
あたしと同じように急いでいる生徒を見ると、あの子もオークションに行こうとしているのではないかと感じて、あたしの足は更に速くなった。
休む暇もなく服屋さんに到着して息を弾ませる。
「あら、また来たの? 汗びっしょりじゃない」
店員さんが驚いた顔で出迎えてくれる。
「タオル持ってこようか?」
そう言ってお店の奥に引っ込みそうになる店員さんの手を掴んだ。
「ドアを開けてください」
どうにか呼吸を整えてそう言った。
「でも……」
「お願いします。今回の商品は手に入れたいんです」
そう言うと、店員さんは根負けしたように「わかった」と頷き、試着室を移動してくれた。
目の前に現れた扉にあたしの心は躍り始める。
銀色のドアノブに躊躇なく手を伸ばす。
その冷たい肌触りが今はとても心地よく感じられた。
「落札できるといいね」
店員さんのそんな声を背中に聞きながら、階段を下りて行ったのだった。
生徒たちでごった返している廊下を走りぬけ、一気に昇降口に向かう。
あたしと同じように急いでいる生徒を見ると、あの子もオークションに行こうとしているのではないかと感じて、あたしの足は更に速くなった。
休む暇もなく服屋さんに到着して息を弾ませる。
「あら、また来たの? 汗びっしょりじゃない」
店員さんが驚いた顔で出迎えてくれる。
「タオル持ってこようか?」
そう言ってお店の奥に引っ込みそうになる店員さんの手を掴んだ。
「ドアを開けてください」
どうにか呼吸を整えてそう言った。
「でも……」
「お願いします。今回の商品は手に入れたいんです」
そう言うと、店員さんは根負けしたように「わかった」と頷き、試着室を移動してくれた。
目の前に現れた扉にあたしの心は躍り始める。
銀色のドアノブに躊躇なく手を伸ばす。
その冷たい肌触りが今はとても心地よく感じられた。
「落札できるといいね」
店員さんのそんな声を背中に聞きながら、階段を下りて行ったのだった。