オークション
あたしは馴れたようにスマホを受付で渡し、開いている席に座った。
会場内はまだ半分ほどしか埋まっておらず、モニターの右下に出ている時計を確認するとオークション開始まであと1時間30分もあることがわかった。
椅子に座って落ち着くと、同時に後悔した。
まだまだ時間があるなら、メールの内容をちゃんと読んでくればよかった。
現役を引退した選手って一体誰なんだろう?
メールには選手の名前も書かれていたはずなのに、それを見る事も忘れていた。
あたしは一度席を立ち、受付に戻った。
黒スーツを着たスタッフが柔らかな笑みを浮かべている。
「すみません、今日のオークションに出る人って誰ですか? 急いで来たから、ちゃんとメールを読んでなくて……」
「あぁそうでしたか。今日来られる人は七島雪歩(ナナシマ ユキホ)さんという人ですよ」
丁寧に受け答えをしてくれるスタッフにあたしは大きく目を見開いた。
七島雪歩。
3年前に開かれた夏季オリンピックで金メダルを獲得した選手だ。
最近膝を故障して練習ができなくなったと言う事はニュースで知っていたけれど、引退表明をしていたとは知らなかった。
会場内はまだ半分ほどしか埋まっておらず、モニターの右下に出ている時計を確認するとオークション開始まであと1時間30分もあることがわかった。
椅子に座って落ち着くと、同時に後悔した。
まだまだ時間があるなら、メールの内容をちゃんと読んでくればよかった。
現役を引退した選手って一体誰なんだろう?
メールには選手の名前も書かれていたはずなのに、それを見る事も忘れていた。
あたしは一度席を立ち、受付に戻った。
黒スーツを着たスタッフが柔らかな笑みを浮かべている。
「すみません、今日のオークションに出る人って誰ですか? 急いで来たから、ちゃんとメールを読んでなくて……」
「あぁそうでしたか。今日来られる人は七島雪歩(ナナシマ ユキホ)さんという人ですよ」
丁寧に受け答えをしてくれるスタッフにあたしは大きく目を見開いた。
七島雪歩。
3年前に開かれた夏季オリンピックで金メダルを獲得した選手だ。
最近膝を故障して練習ができなくなったと言う事はニュースで知っていたけれど、引退表明をしていたとは知らなかった。