オークション
☆☆☆
5往復を終えて帰ってきたあたしは、すぐにタイムを確認した。
30キロを1時間40分。
時々信号に引っかかったにしては、悪くないタイムだ。
息は上がっていたが、まだ走れないほどではない。
42.195キロという距離の感想は余裕でできそうだった。
「藍那、なにしてるの」
玄関のドアを開けようとしたら、リビングからお母さんが顔をのぞかせてそう言った。
「走ってた」
そう返事をすると、けげんそうな顔をされてしまった。
マンマルマラソンに参加する。
そう言うと、両親は驚いた様子だったがすぐに承諾してくれた。
「マラソンなんて、急にどうしたの?」
夕飯を食べながら、お母さんが不思議そうに聞いてくる。
「あたし、走ることが好きだったなぁって思い出して、また走りたくなったんだよね」
ご飯を口に運びながらスラスラと嘘を並べる。
「確かに、藍那は足が速いからなぁ」
お父さんはビールを飲みながら昔を懐かしむように目を細めた。
「昔よりもずっと早くなってるよ」
あたしは言う。
「あぁ。楽しみだな」
お父さんは笑顔でそう返事をした。
あたしもそれに笑顔で返す。
だって、あたしの足はオリンピック選手の足だからね……。
心の中でそう思ったのだった。
5往復を終えて帰ってきたあたしは、すぐにタイムを確認した。
30キロを1時間40分。
時々信号に引っかかったにしては、悪くないタイムだ。
息は上がっていたが、まだ走れないほどではない。
42.195キロという距離の感想は余裕でできそうだった。
「藍那、なにしてるの」
玄関のドアを開けようとしたら、リビングからお母さんが顔をのぞかせてそう言った。
「走ってた」
そう返事をすると、けげんそうな顔をされてしまった。
マンマルマラソンに参加する。
そう言うと、両親は驚いた様子だったがすぐに承諾してくれた。
「マラソンなんて、急にどうしたの?」
夕飯を食べながら、お母さんが不思議そうに聞いてくる。
「あたし、走ることが好きだったなぁって思い出して、また走りたくなったんだよね」
ご飯を口に運びながらスラスラと嘘を並べる。
「確かに、藍那は足が速いからなぁ」
お父さんはビールを飲みながら昔を懐かしむように目を細めた。
「昔よりもずっと早くなってるよ」
あたしは言う。
「あぁ。楽しみだな」
お父さんは笑顔でそう返事をした。
あたしもそれに笑顔で返す。
だって、あたしの足はオリンピック選手の足だからね……。
心の中でそう思ったのだった。