オークション
「あ、明日の放課後藤吉さんのお別れ会があるらしいんだけど、行く？」


あたしは苦し紛れに話題を変えた。


しかし、エレナは藤吉さんの名前を出した途端に顔をしかめた。


エレナがここまで嫌悪感をあらわにするのは珍しい。


「藍那は行くの？」


「……うん。クラスメートだしね？」


あたしはおずおずとそう返事をした。


しかし、あまり仲良くなかった藤吉さんのお別れ会と言う事で、できればエレナも一緒に行ってほしいと思う。


「そっか……」


エレナは険しい表情を崩さないまま「いいよ、あたしも行く」と、頷いた。


その返事にあたしは思わず笑顔になった。


「よかった」


つい、そう口に出る。


「そのかわり、みんなの前であの事を話しそうになったら藍那が止めてね？」
エレナにそう言われ、あたしは「わかった」と、頷いたのだった。
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