オークション
☆☆☆

藤吉さんのお別れ会は盛大なものだった。


クラスメートの大半が参加しているため、家のリビングはすし詰め状態だ。


そんな中大きなピザを何枚も注文し、クラス委員長が用意した大きなケーキを切り分ける。


藤吉さんを中心として色々な思い出話にも花が咲いた。


普段では経験できないことに、気が付けばあたしもエレナも十分に楽しんでいたのだった。


そして、時間が経過するにつれて1人2人と帰って行った。


部屋の中は汚れ放題で、委員長と一緒に片づけをしていると外は真っ暗になっていた。


「藍那ごめん、あたしもそろそろ帰らなきゃ」


片付けの手伝いをしていたエレナが申し訳なさそうにそう言って来た。


エレナの家は門限が7時と決まっている。


時計を確認するとあと5分で過ぎてしまうことがわかった。


「ほんとだ、気を付けて帰ってね」


あたしは玄関までエレナを見送り、そしてリビングへと戻った。


数時間前までは賑やかだった部屋には藤吉さんとあたしと委員長の3人しか残っていない。


テレビ番組の音だけがにぎやかに響いていて、なんとなく無言になってしまう。


なにか話した方がいいだろうか？
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