オークション
息をするのも申し訳ないほどの静けさが周囲を囲む。


全員がモニターに注目していると、ステージの様子が映し出された。


ステージ上にはまだ誰もいなくて、商品も準備されていない。


それなのに、ざわめきはどこからも聞こえてこなかった。


あたしとエレナもモニターに注目していると、画面の右側からピエロのような格好をした男性がマイクを持ってステージに上がって行くのが見えた。


「ピエロ？」


そう呟いて首を傾げた瞬間、会場内がワッとにぎやかになった。


ピエロは客へ向けてペコペコとお辞儀をしながらステージ中央へ向かう。


「今から大道芸でも始まるのかな？」


冗談でそう言うと、エレナがプッと噴き出した。


でも、これだけの人数が集まっているのだからそれくらいのお楽しみがあってもいい。


そう思って見ていると、ピエロが自己紹介を始めた。

「みなさまどうも初めまして！　中にはお久しぶりですの方もいらっしゃいますかぁ？　司会を務めさせていただきます、モンピーでございます！！」


その挨拶と同時に会場から大きな拍手が沸き起こる。


「モンピーだって」


意外にも楽しい雰囲気になってきた会場に、あたしとエレナは緊張が解けて行く。
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